「開拓の村」に見る北海道開拓の歩みと産業創造

ー北海道のフロンティア開拓と産業開発はどのように進められたか

 今年、北海道に旅行する機会があり、札幌郊外にある「北海道開拓の村」を見学してきた。この「開拓の村」は、北海道開基百年を記念して、1983年、札幌市厚別町観光テーマパークとして建設された野外博物館である。明治から大正時代に建てられた北海道開拓時の住宅、官庁、施設などを移設、復元、保存、再建した博物館であり、訪問者が、自由に北海道開拓当時の生活や産業の様子を体感できる。村内は市街地群・漁村群・農村群・山村群の4群に分類され、およそ60棟余りの建造物が施設の歴史、用途、役割や背景などのテーマに沿って効果的に配置してある。私も、半日かけて「開拓の村」を歩いたが、建造物や内部展示を通じて、明治から始まった北海道開拓と近代化の歩みを詳しく理解できた。

♣ 北海道開拓の村」の概要

「開拓の村」の区画された建造物配置図

 この開拓の村は、札幌市厚別町にある野幌森林公園の一角を区切り、4ヘクタールの敷地に約52棟の歴史的建造物を移築または再現しているもの。いずれもが北海道の開拓の姿をそのまま表す貴重な建造物である。村内は、市街地、農村、漁村、山村地区の4つの地区に分かれていて、それぞれ特徴を持った建造物が配置されている。

「北海道開拓の村」ホームページ:
| 開拓の村 (kaitaku.or.jp) (建造物配置図あり)

まず、入り口に当たる正面広場には、北海道開拓の象徴となる「旧札幌駅」(受付センター)、「旧札幌開拓使庁舎」(ビジターセンター)が建っており、広場脇には「駅馬車」のたまり場があって訪問者を迎え入れてくれる。

 その先にみえるのは、市街地域で、駅馬車の線路を挟んで明治、大正期に建てられた商店、酒屋、旅館、工具店、装蹄所、写真館、理髪店、郵便局、交番などの建物が並び、開拓時の街の様子が再現されている。

 駅馬車の終点地となる奥まった農村区域には、開拓移住者の農村家屋、屯田兵の宿舎、米倉、駅逓所、蚕種製造所、酪農畜舎が点在して配置してある。ここには移住者の故郷を偲ぶ神社や信仰の場も再現されていて興味を引く。また、明治初期の開拓の姿を写す「開拓小屋」は見逃せない施設であった。

 

 漁村区では、海を模した池を挟んで、漁船を入れる「はねだし」、ニシン漁で産をなした豪壮な旧青山家の「漁家住宅」とその作業場などが再現されており、明治、大正期の北海漁業の盛りを彷彿とさせる。また、橋を渡った丘陵地には、炭焼き小屋と飯場小屋が建っていて開拓林業の進展を伝えている。 

 市街地脇の広いエリアには、旧札幌農学校寄宿舎、旧札幌師範学校武道場、旧北海中学校などが北海道における実務教育の現場を再現してある魅力的な場所である。また、正面広場の近くには、旧札幌開拓使庁舎と共に、旧開拓使工業局庁舎、旧浦河支庁庁舎が移築されており、内部には、開拓使当時の政策行政と産業振興の展開経過が展示されていて見逃せない。

 これら「開拓の村」の建造物一つ一つを丁寧に見ることで、北海道の開拓当時を生きた人々の労苦、知恵と努力、そして、何よりも当時の社会と生活内容を知ることができることは大きいと思われた。北海道を旅行する機会があったら是非訪ねたい施設の一つである。 

 そして、今回の「北海道開発の村」での見学や資料をベースに、幾つかの北海道開拓に関する資料・データを参照しつつ、以下に、明治以降の北海道開拓の歩みと展開を私なりにまとめてみた。

開拓の風景
  1. 江戸期から始まった蝦夷開発の歴史
  2. 明治初期の屯田兵と開拓農民
  3. 北海道開拓使の設置と産業創造への挑戦
  4. 北海道の米作りの始まりと展開
  5. 西洋式牧畜の開始と発展
  6. 北海道漁業の振興と展開
  7. 北海道開拓の年表

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参考とした資料:

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